2013年 07月 20日
大阪谷町のモナカを頂いた。 衒いのない包装を見て、その素っ気無さに、これはかなりおいしいのではないかとおもった。 最中の皮のことを、種といい、作りながら食べるモナカは、パリッとした食感を優先するためにコーンを使うのだが、ここのは餅粉である。 餡の分量はちょっと多めか、ぎりぎり。 餡を挟むと、口を閉じないその形で、老舗だったミナミの、ともえ堂(友恵堂だったかもしれない)のモナカを思いだす。 最中の餡は浸透圧を利用して作るはずであるが、「一吉」は、甘さを抑えて、種とのマッチングを見事にこなしている。 「もなかは、友恵堂でおます」と口癖だった母方の祖母は、大きうに口をあんぐりあけて食べんと、食べられしまへんのやよって、おなごしさん、大笑いになりますのんや・・・こんなこともいっていた。 おちょぼ口で上品に食べる習慣など、今はない。おちょぼ・・というのも死語だろう。 橘屋寿永、南・鶴屋、友恵堂などの和菓子屋が姿を消して40年ほどになる。
最中を頂いたのは7月14日。フランス革命記念日だった。 午後から、天候が大荒れに荒れ、豪雨が襲い、やれやれと、脱力して一人で過ごす雨上がりに、小さな家蜘蛛が出てきて、見ると、最中の色だった。 蜘蛛も雨にはびっくりしただろう。 蜘蛛は小さな大の字に似ていたために、大ちゃんと名づけ、踏み潰さないように気をつけていたが、4日ほどで、姿を見せなくなった。 大ちゃん蜘蛛の肌いろから、町並み散策中の城陽で和菓子屋を見つけたとき、一番のお勧めは、この、もなかですねん。と自慢されたことを思いだした。 周防町の庵月でも、必ず、「もなかにしなはれ」と勧められた。 四条の甘泉堂の「とりどりもなか」を包んでもらうときは、おいしおすえ、とお店の人が言う。 今はない、高台寺の、阿月の高台寺最中は、糖尿の主人が手を伸ばしてくるのよ、と船橋市の友人の母上が、喜んだ。 最中それぞれが、地元産を自慢する雲丹に似ている。 最中は完成されたお菓子なのだ、と思う。 写真の下に敷かれた梅の絵はタイル。 作家は金沢在住の竹腰潤氏。 一に吉。 良い名前だ。 日本一というのは、dancyu という雑誌に掲載されて知った。 いつの号だろう。 90年代の号だと記憶している。
by coppoumon
| 2013-07-20 23:10
| 和菓子
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Comments(6)
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mitsuketai at 2013-07-21 00:23
少々生意気な意見で申し訳ありませんが、コップさんの今日のブログ、特に日本で一番美味しい、といわれているモナカに対する評価の切れ味がイマイチなような、何か迷いがあるように感じるのですが…
たぶん、私の邪推ではコップさんのお考えでは、やはり“モナカは巴堂”という揺るがないスタンダードがあって、それでもこの一吉の最中の 何かいいところを見出そうとされたのではと… 私自身はよくそういうことがあるので勝手に想像しちゃいました(ペコリ) 7月14日に最中を入手された日に蜘蛛との出会いがあり、賞味期限が 5日後の19日であり、その日に蜘蛛がいなくなり…この2つの同時進行している時空での謎解きが凡人の私にはイマイチ分かりません(汗) 謎解きやロジック、深読みがあれば教えて下さいね(ペコリ)
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coppoumon at 2013-07-21 07:28
隊長、そうでおます。冷や汗もんでおます。
書き足して、モナカ話に戻らねば、ということで、加筆しました。
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mitsuketai at 2013-07-21 08:52
納得!納得!コップさんの最中に歴史あり!そういうことだったんですね!それはそれとして、蜘蛛のその後…進展があればリクエストお願いします(ペコリ)
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coppoumon at 2013-07-21 09:51
隊長、蜘蛛は益虫ときいています。セアカゴケグモのようなのは困りますが、家蜘蛛は小さな虫を食べてくれるようです。
蜘蛛のだいちゃんですか?くもがくれですね。外に捕食に出たかもしれません。
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mitsuketai at 2013-07-21 10:40
そうか?蜘蛛が隠れるから、雲隠れならぬ蜘蛛隠れなんですね!
天岩戸伝説じゃありませんが、蜘蛛のご機嫌を取る方法があればいいかも…(ペコリ)
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coppoumon at 2014-06-21 21:46
だいちゃん、もっと、友情を培っておきたかったです。
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