2013年 06月 13日
郷里では、黒いものを大っぴらに食べなかった。 ヒジキご飯のようなまぜご飯は、白米に黒いものが混ざっている、というので、人前には出さなかったのだそうだ。 黒い餅も食べなかった。 餅は白いもの、黒い餅は武家の食物ではないという城下町のこだわりなのか。 田舎の方では胡麻餡の牡丹餅を作ることを私は先年まで知らなかったし、「かすまき」というカステラより上等の生地に黒と白の餡をそれぞれに巻いたものも、赤餡、白餡と店の人はいう。 京都で黒い菓子を見たのは「烏羽玉・うばたま」で、それも中は芋餡だった。 黒砂糖しか扱えなかった店の創意だろうと、感じ入ってしまったが、古渓忌でも出されるので、悪いものではないのだろう。 大和大路のある和菓子屋で「濡れ燕」という菓子を見つけた。 粒餡を黒砂糖の錦玉で包んだもの。 さて、ひじきご飯は、未だに食べたことはない。 サザエか、カシワとごぼうが入った炊き込みご飯が、「色ご飯」だったからだ。 関西に住んで、精進の「色ご飯」のおいしさを知った。 簡単な食事と色ご飯のあとに、こういう、濡れ燕のような菓子で御薄があれば、至れり尽くせりだなあと考える。
by coppoumon
| 2013-06-13 08:41
| 和菓子
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