2013年 07月 08日
日置の森は、枚方市の招堤にある天神様で、我が家からは歩いて3キロ程のところ。歴史的に相当古い集落である。 神社の森はうっそうとしていて、夏の日差しの強さで、中に入るとコントラストが際立ち、暗いとさえ思う。 写真は、招堤にある和菓子屋、招堤平野町の「松月」の「日置の森」という饅頭で、他にも「日置の里」、「穂谷川」と名付けられた地元ならではの饅頭が作られている。 「日置の森」には皮のてっぺんに胡桃が載り、黒い餡の中を口の中で探すと、刻んだ栗が入っていた。 鎮守の森の木の下は暗いので、小さな木の実を探すのは、浜辺で石を拾うようなわけにはいかないのか・・・ と、この黒餡の中に栗の実を隠した饅頭を考案した人のセンスを思う。 「日置の里」にもトライした。薄く焼かれた皮はシナモンをたっぷりとまぶして、中は黄身餡だった。 たんぽぽ、菜種、カタバミの小さな花、麦秋、日差し・・と、黄身餡にその集落の居心地の良さがイメージされて詰まっている。 樹皮のような皮の色とのコントラストも良い。絶品。 そうだった。 森の木の生い茂るところは夏でも暗がりだ、という漢詩があった。 先日、6月初旬、偶然にも書家、寺本蒼玄氏の「樹如蓋」という書を拝見したのだ。 春が過ぎて、頃は初夏。 暁涼暮涼樹如蓋 千山濃緑生雲外 衣微香雨靑氛氳 いびたる香雨せいふんうん 膩葉蟠花曲門照 じようばんか曲門を照らす 金塘閑水碧倚揺 へきいゆれの「い」椅ではなく、サンズイと獣偏がつくが、字が見つからない。 老景沈重驚飛無 堕紅残萼隅参差 だこうざんがくすみにしんしたり 李賀(791~817)の七言古詩は、 暁に涼しく、暮れに涼しく、大樹が空を覆って天蓋のよう。 四方の山々は緑を色濃くし、雲のかなたにそびえている。 池や堤は緑の葉を碧くさざ波に映し、 すっかり夏の初めの趣となって緑陰に覆われた木の下では、 真紅の花と萼が暗がりに入り交じっている。 と歌う。 ちょっと意訳しすぎたかなあ。 老景とは花びらが舞う賑やかさが過ぎて、とか、春が過ぎて、なのだが、私のことではないだろう。 招堤は、古い集落で、未だに少し江戸時代の寺内町の名残を残している。 南側は開けているが、比叡山、生駒、高槻のポンポン山と、周囲の山山に不自由はない。 見晴らしはとても良い。 そこから望む高槻にしても、遠くから認めるほどの欅の大樹が、今に地名を残したに違いない。 李賀の詩は、招堤池や、古くからの村落、住まう人たちのイメージを結びつけてくれた。 女郎花が咲き始めた。 庭には桔梗が咲いて梅雨の開けぬ間にも、すっかり夏支度である。
by coppoumon
| 2013-07-08 11:32
| 大阪
|
Comments(2)
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apercevoir at 2013-07-08 22:11
ほうね、もう女郎花が咲きよるんね。
こがあに暑いのに秋を知らせてくれるんかね。 上の夏の情景の詩が、ええねえ、、 今とは違うて、最高気温もこような殺人的なもんじゃあなかったんじゃろうね。 夏の詩なんじゃけど、涼しさを感じてしまうんよね~
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coppoumon at 2013-07-08 22:18
おはなちゃん、松林のはずが、やしの木だらけの日本庭園になる日が来るんじゃろか。
女郎花はこように早う、朝顔よりも早うに咲くんよ。 桔梗も6月から咲いて、また、9月にも咲くけんね。 うちゃ、かぼちゃの花盛りじゃけえ。 |
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