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2014年 08月 21日

破天荒

1年を過ぎただろうか、あるとき樹医の方が来られて、お薄をお出しした。
抹茶は「城の寿」という銘の濃茶だった。
スケールの大きなゲリラ雨の降った日だった。
空気の湿った匂いは嗅覚を敏感にさせる。

濃茶の香りで、ふと、その日の大気の不安定さを思い出した。

濃茶を求めたのは久しぶり。
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茶碗は2代目森岡嘉祥。お菓子は浪川菓舗。

いつものお薄とは違う香りを楽しみつつ、去年の夏から、今年の夏までの心のありようを見つめる。

10代の終わりに関西に来て知己を得た古い友人が、無遠慮にいう。

あんな、親が死ぬ頃って、人生どツボや。
そんなときは、最小限の改築、旅行、買い物に留めるねんで。
でないと、更に、どツボにはまるで。

あはは、やったな・・・経験者。と、私。

以って、他山の石やでえ、と友人は言う。

ありがとう。



数日後、京都に出かけた。久々に叡山電車に乗って八瀬まで出かけてみたくなった。
体力もついてきて、少しなら遠くまで出たいと思うようにもなってきて、気力が充実し始めたのだと、感じた。

大文字の日だった。

昼過ぎに帰れば、京都市内で大勢の人出に遭遇することもないだろう。

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御蔭神社は人影もなく、相変わらずそこだけが明るく輝いている。
蓮花寺に向かって歩き、寺に入ると「まあ、おひさしぶりでございます」と声を掛けられた。
そうだ、前にもみじを楽しんで、その数日後、外科手術で入院したのだった。

雨が降り始めた。だんだん激しくなり、30分もすると池の水がにごり始めた。
雷が鳴り、光り、稲妻がはしり、劈くような音とともに落雷もあった。
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もう、止むだろう、雨も上がるだろう、と、茶室に入ってお茶を楽しんでいたら、更に雨脚が強くなり、
雛たちが親鳥を呼ぶ切実な叫びが聞こえてくる。

部屋はますます暗く、お軸も読めないほどになり、川を挟んだ山肌から、小さな滝がいく筋も流れ始めた。
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雨の日の日本庭園は美しい。
雨の音、川の音、鳥の声、かみなり。
神様からの慰めの音楽としてそれらを聴く。

玄関に回ると澤溜りが出現して、澤は川のように水が下手に移動していた。



寺の外に出て、川の水位の異常さに気づいた。
叡山電車は不通。
バスで市内に出て、京阪に乗り自宅に戻った。寺にいたとき184ミリの雨だったという。



体内ラジオが高野喜久雄を歌う。

「ごらん くちなしの実を ごらん
熟しても 口をひらかぬ くちなしの実だ」
と ある日の 父のことば
父の祈り
くちなしの実よ
くちなしの実のように
待ちこがれつつ
ひたすらに こがれ生きよと父はいう
今も どこかで父がいう


この日、さらに100ミリの雨が京都の街に降った。
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by coppoumon | 2014-08-21 21:37 | 京都 | Comments(0)


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