2006年 01月 16日
今年のカレンダーは11年前と同じだよと、友人が教えてくれた。 成人の日が移行したので気づかなかったが、1月15日は日曜で、16日は振り替え休日。 17日は火曜日だった。 今朝は4時前に目が開いてしまった。 4時半頃に新聞が来て、ベッドの中でそれを読み、6時まで、目を開けてベッドの中にいた。 長い揺れだった。ピアノの部屋は大丈夫かなあ。しかし、何一つ物が落下するわけでもなく、こんなに揺れたのだから、と心配になって窓を開けたが静謐そのものの街は普段と変わりなく、テレヴィも普通に放映を続けていた。午前十時ごろになって、大変な事が起こったらしいと、分かり始めたのだ。 それから人心地がつくまでどれほどの時間を必要としただろう。 家の中を丁寧に見歩いた。 玄関に、お正月ということで出してあった面取りの福、禄、寿、の花生けの「禄」だけが横倒しになっていて、あれ、収入が減っちゃうのかな、・・と冗談めかして独り言をいったくらいのことであった。 気になったピアノはいつもの場所でいつものごとくに鎮座していた。 しかし、2台のグランドピアノの左足のキャスターだけが、二台とも同じ角度で右に50度ほど右に回転していたのだ。 もともと、免震と階下への遮音のために特殊なゴムの板の上に乗せてあるので、どのように力が加わったのか想像すらつかなかったが、西南方向から北に向けてピアノを持ち上げるように力が働いたらしい事が理解できた。 写真一番上は1971年製のグランドの左足。地震で真鍮のキャスターだけが40度ほど右回りにねじれた。 真ん中は1989年製のグランドの右足で、キャスターはピアノの中央に向いて据え付けられた当時のままの位置にあり地震で動いた気配はない。 写真下は、地震の時に50度近く右回りをした1989年製の左足のキャスター。 これが今も我が家で見る事が出来る唯一の地震の記憶だ。 福禄寿の花生けは、形見分けされて、埼玉に行ってしまいここにはない。 その日お向かいのおじさんが仕事先から引き返してきた。「魚崎でね、阪神高速が大音響とともに左右に傾いで倒れていくのを見ちゃって、あんなもの見たら、世の中何一つ恐ろしいものなんて、なくなっちゃうよ」 私はいま、その時のおじさんの年齢になっている。 幸いなのか不遇なのか、私はまだ、人間以外の恐いものを知らない。
by coppoumon
| 2006-01-16 22:16
| 眺めのよいアパルトマン
|
Comments(4)
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ともみ
at 2006-01-17 01:34
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このページを開くのがとても楽しみになりました。けれど、そうか、阪神大震災は11年前だったのか。ご家族を無くした方々、辛い歩みをされたのだろう、神様は存在したのだろうか、どうか残された人たちが生きてほしい。三男、尚生は父親によく似た息子でした。たぶん色白は長男かも。三男は毎年、この時期に神戸に震災のあとの手伝いに行ってた。今、戸畑教会の司祭、柴本孝夫さんと一緒に。毎日、歩いているのですか。前にお会いした時、ピアノを三日弾かないと、手がグローブになった気がする、といわれたことがずっと心に残っています。今年は私も、真似て、毎日一行でも書こうと決心。また同人誌を送りましょうか。最近のは、ホームレス支援のエッセイだけど。ではまた。
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coppoumon at 2006-01-17 23:58
神様の意地の悪さは知らない人がいないくらい有名ですからね。
じゃあ、仏様は意地悪をいしないかって? しないんでしょうね。意地悪された人を優しく包んでくれているって、そんな感じです。 あ、そんな事いっちゃいけない。クリスチャンだったんだ。 井上ひさしの小説でイエスとマホメットと仏陀が花札していたのを思い出したのです。
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冬の百合
at 2006-01-19 17:32
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11年前の今日は木曜日だったのですね。
言われてみて、今思い出しました。 震災の時、こちらでもよく揺れました。 まだ布団の中にいた私は、怖くて動けませんでした。 異常な、いつもとは違う揺れでした。 すぐテレビをつけたのに神戸だけなかなか震度が出なかったのです。 皆さんが10年たった、11年たったと言われると、 本当にあれから11年たったんだね。と涙が流れます。 それは震災の二日後、姉が47歳で病気で亡くなったのです。 そう今日は命日でした。そう木曜日。 すべてが流れるように行われ、震災も一緒に流れていきました。 仏様もやっぱり意地悪ですね。 いつまでたっても忘れられない。フッ
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coppoumon at 2006-01-19 18:37
私も大きくため息をつきました。
もし、私の住んでいる所で地震が起きていたら、私は虚業ですから、生活基盤を失う事になってしまう。 そうしたら、島根に引き取られていくことになるのだ・・。 そんなふうに、思いました。 それはそれで、新しい人生を始めることがたでしょうけれど、 私は、長く留まって今日やった事を明日も続けたいし、続けられる事がうれしいです。 |
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