白血病からカムバックして親御さんの介護に、郷里へ帰っていた友人が召されたと連絡があった。
驚いたが合点もいった。
彼の魂の平安を祈るために、京都の山奥の静かな場所に出かけた。
途中、蓮華寺にお参り。
これまでに見たことの無い枯れた景色だった。

今年は紅葉が短かったのだそうだ。
それも、何とすばらしい紅葉で、人の出もまたおびただしいものだった、と、お寺の方がおっしゃる。


秋が過ぎ去ってしまった。

本堂裏に残っていた紅葉に、虚子の、「濃紅葉に 涙せき来る 如何にせん」という句をおもった。
これは虚子の父の法事で読まれたはずで、今の時期だろうとおもう。

頂くお茶席の毛氈は紅葉より赤い。
お昼前に御蔭神社を目指した。
途中で、お昼の準備に帰る清水さんというおばあさんに会った。
近くも、遠目もきかへんようになりまして、失礼しました・・と。
田圃は籾殻が積まれ、冬の景色だ。

やまは冬。
私は穏やかな12月初頭のこの時期を、一番好ましいと思う。

一番初めに神様が降り立った場所、と言われる御蔭神社。
いつも、連絡があったときには、彼が、すぐ家のそばまで来ていた。
大病の後、「な~に、また向こうで会える・・」というと、一瞬、面食らって、すぐに破顔した彼。
そのうち時期が来れば召された彼が私を迎えに来るだろう。

山を下ると、瑠璃光院の裏にあたる、その敷地から、瑠璃色の光が差している。